ユジュンヌ・ボリーはメドックでは数少ない、この地に在住する当主であり、ワインへの情熱、品質の追求を求める姿勢を持ち、ボルドー大使として海外への訪問も多く、この地域で最も敬愛される人だったのである。今は亡くなり、息子のグザヴィエが引き継いたが、2003年に兄のブリュノが管理することになった。
「デュクリュ=ボーカイユは、1980年の終わりから1990年代初めにかけてのスランプから復活した。この間つくられたワインには、湿った段ボールのにおいで駄目になってしまったものもあった。おそらく熟成用のセラーの1つにTCA(トリクロロアニソール)が混入したためであろう。1994年以降のヴィンテージは、このシャトーでこれまでつくられた最高のワインと肩を並べる出来である。ブラネール(こちらよりはデュクリュ=ボーカイユのほうが優れている)やレオヴィル・ラス・カーズ(総じてデュクリュ・ボーカイユをしのぐ)と同様、オークションで見かけることはめったにない。投資の対象というよりは、ワイン通が好んで買うワインなのである。品質に対するコストパフォーマンスの点では、ボルドーのスーパー・セカンドで最も興味深いワインの1つだ。」R.parker